皆さんこんにちは、鍼灸師の芍薬です！
最近寒がりになりました。
手足が冷えて悩んでいます。
そうでしたか。
他にどんな症状がありますか？
数年前から疲れやすくなりました。
あと、下痢しやすくて困っています。
Dさんは陽虚（ようきょ）の傾向があるかもしれません。
詳しくお話を聞かせて頂けますか？
身体が冷える、疲れやすくて元気が出ない、下痢ぎみ・・・
それは「陽虚」のせいかもしれません。
今回は「陽虚タイプ」について詳しく解説します！
陽虚って何？どんな状態？
東洋医学では、身体の「気・血・水」のバランスを重要視します。
「気」は身体の陽の部分、「血・水」は身体の陰の部分を担当しています。
このバランスが崩れることで体調不良が起こるのですが、中でも体を温める「気」のエネルギーが不足している状態を「陽虚」といいます。
「気」の不足で起こるのは「気虚」じゃないんですか？
その通り。「陽虚」は「気虚」が更に悪化した状態です。
簡単に言うと、体の中の「ヒーター」が壊れてしまっているイメージです。
そのため身体が冷えやすく、代謝も低下してしまいます。
そもそも「気」って何？
そもそも「気」って何なんですか？何だか怪しい・・・
その気持ち、よ～く分かります。
私も最初は「何なの！？意味分からない」と思いました。
でも、実は皆さんも日常的に「気」を使っているんですよ。
気を使う、気を遣う、気を付ける、気に入る、気が滅入る、気にする、気がつく、
気が強い、気が弱い、気がきく、気軽、気が重い、気にかける etc…
よく使う言葉ばっかりですね！
「この部屋、空気が悪いな〜」と感じたり、相手の様子を見てタイミングを伺ったり・・・
実はみなさん日々「気」を読み合っているんです。
こう考えると、「気」は身近なものだと感じられると思います！
「気」とは、人体を構成し、生命活動を維持する極めて細かい物質を表します。
全身の組織や器官を巡り、生命活動の原動力となります。
気には生まれ持った「先天の気」と、飲食物から得られる「後天の気」があります。
気は更に4つの種類に分類され、
・先天の気である「原気（げんき）」
・呼吸や血流を司る「宗気（そうき）」
・栄養分を持つ「営気（えいき）」
・身体を防御する「衛気（えき）」
これらの「気」がお互いにバランスを取りながら人体の健康を維持しています。
・・・何だか難しいですが、「気のバランスが崩れると身体の調子がおかしくなる」という解釈でOKです！
陽虚の症状は？
陽虚になると身体を温める機能がうまく働かなくなり、不調として出てくるのですね。
具体的にどんな症状が出るのでしょうか？
詳しく解説します！
身体が冷えやすい
気には身体を温める作用（温煦作用）があるので、陽虚になると身体を温める力が少なくなり、寒がりになります。
疲れやすい、元気が出ない
気が不足していることで全身に栄養が行きわたらず、疲れやすくなります。
また気＝生命エネルギーといえるので、陽虚になると身体だけでなく精神的な活力も低下します。
東洋医学では心と身体は繋がっていると考えるので、身体のだるさが続くと気分もどんどん落ち込んでいきます。
休んでも休んでも身体がだるい、寝ても疲れがとれない方は「陽虚」状態かもしれません。
顔色が青白い
陽虚により身体を温める力が弱くなると、顏色が悪くなります。
唇の色も青白くなってしまいます。
むくみやすい
身体を温める「陽」のエネルギーが少なくなると、
身体が冷えることで身体の血液や水分、老廃物の代謝が悪くなり、むくみやすくなります。
下痢しやすい
陽虚タイプの方は、冷えにより東洋医学の消化器官である「脾」という臓腑の働きが弱っていることが多いです。
食べたものをうまく消化吸収できずに下痢気味になってしまいます。
特に体内の陽気が少なくなる明け方に下痢しやすくなります。
生理不順、生理痛がひどい
身体の「陽」のエネルギーが少なくなることで血の循環が悪くなり、生理が遅れたり、来なくなったりします。
また、身体が冷えることで血の流れが悪くなる「血瘀（けつお）」状態になり、生理痛がひどくなることも。
血瘀タイプについてはこちらの記事をチェックしてください♪
どうして陽虚になるの？
陽虚の特徴、何個も当てはまります・・・
特に女性は陽虚の方がとっても多いんですよ。
どうして陽虚になってしまうのか、教えてください！
詳しく解説します！
栄養が足りていない
栄養不足だと、体内で気を作り出す材料が少ないので陽虚状態となります。
現代人の食事は栄養のバランスが偏りやすく、
カロリーは摂りすぎだけど必要な栄養が足りていない「質的栄養失調」という状態の方が増えています。
身体を温める材料が少ないので冷えてしまう状態です。
ヒーターに灯油が入っていない状態と言えますね。
疲れすぎている、慢性的な病気がある
激務などで慢性的に疲労が溜まることで、気がどんどん消耗してしまいます。
また睡眠不足だと気の回復ができず、陽虚状態が悪化していきます。
慢性的な病気などで体調不良が続くと、長期的に気が消耗するので陽虚になります。
冷たいものの食べ過ぎ、寒い環境にいる
寒さにさらされる環境にいると、身体の陽気が消耗するので陽虚になります。
オフィスで暖房が効かない、冷房が効きすぎている環境であったり、
アイスコーヒーなどの冷たい飲み物やアイスクリームなどの冷たい食べ物を口にすることが多い人は
陽虚になりやすいといえます。
セルフチェック！陽虚の身体的な特徴は？
東洋医学では、舌や脈を見ることで身体の状態をチェックします。
陽虚の身体にみられる特徴は以下の通り。
鏡でご自身の舌をチェックしてみるのもおすすめです！
陽虚の改善方法は？
陽虚のこと、よく分かりました。
でも具体的にどうすればいいんですか？
日常生活の注意点をいくつかお伝えしますね！
十分な休養、睡眠をとる
まずは十分な休養を取ること！
できれば週に１回、難しければ月に１日でも何も予定のない休日を作ってみて下さい。
また、良質な睡眠は気を回復させるために重要です！
寝る前についついスマホを触ってしまうことはありませんか？
寝る前に明るい光を目に入れてしまうのは、睡眠の妨げになります。
寝る少し前からスマホを控え、明かりを暗くする等で睡眠に向けた準備をしていきましょう。
身体を温める
まずは身体の陽気を補うことが大切！
冷えやすい手首やお腹、足首を温めるようにしましょう。
ぬるめのお湯（３８～４０℃）でゆっくりリラックスして身体を温めましょう。
また運動で循環を良くし、身体を温めることもおすすめです！
食事の改善
食事の乱れは、気の生成に重要な役割を果たす「脾」を失調します。
脾が弱い方は食事の栄養を気に変化させる機能が弱っているので、陽虚になりやすいです。
陽を補う食事を意識して摂りましょう！
陽虚を改善して元気に過ごそう！
いかがでしたでしょうか？
寒がりの方、疲れやすい方、慢性的に下痢気味でお困りの方・・・
そんな方はもしかしたら「陽虚」体質かもしれません。
ご自身の体質の大枠を掴んでおくと今後の体調管理がとても楽になりますよ！
どうぞお身体大切に、養生なさってください♪
